公正証書遺言作成上の注意事項(その1)
公正証書遺言の作成場所は、公証人役場の他、遺言者の入院先の病院や自宅などに公証人の出張を求めて作成することも可能です。
遺言者が外国にいる場合はどこで公正証書遺言を作成すればよいのでしょうか?
その場合は、日本の領事が公証人の職務を行います。(民法984条)
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公正証書遺言の作成場所は、公証人役場の他、遺言者の入院先の病院や自宅などに公証人の出張を求めて作成することも可能です。
遺言者が外国にいる場合はどこで公正証書遺言を作成すればよいのでしょうか?
その場合は、日本の領事が公証人の職務を行います。(民法984条)
公正証書遺言書は、「原本」のほか、「正本」・「謄本」の合計3通が作成されます。原本は公証役場で20年間保管され、正本は遺言執行者が執行のため保管し、謄本は遺言者が保管します。しかし、遺言執行者の指定がない場合には、通常、正本は遺言者が保管し、謄本は相続人の一人が保管します。また、正本・謄本とも遺言者が保管する場合もあります。
公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されていますから、偽造・変造、破棄を企てる者をけん制し、紛失や焼失のおそれがありません。このように公正証書遺言は保管上も安全な方式です。また、平成元年以降日本公証人連合会では、「遺言検索システム」として、全国の公証役場で作成された公正証書遺言及び秘密証書遺言につき、コンピューターによりその遺言者等を登録しています。そして、この登録された遺言の検索を、遺言者の死後に相続人、受遺者その他の法律上の利害関係人は、公証役場にも依頼できるようになっています。依頼を受けた公証役場では、日本公証人連合会にその検索を依頼し、検索結果を得て、依頼者に回答されます。したがって、遺言者は、公証役場で遺言書を作成したことだけを相続人らに明らかにしておけば、遺言者の死後、相続人らは容易に遺言書を発見することができます。
私が遺言執行者となった場合は、アフターケアとして、年に1回ないし2回程度、一定時に依頼者(遺言者)に、遺言書の内容の変更の要否、相続人・受遺者の変更の有無などの照会を行っています。
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公正証書遺言は、公文書ですから、成立については完全な証拠力を有します。しかし、遺言者の口授の真実性を保障しないから、利害関係人は反対の事実を立証することで、遺言の内容を争うことができます。
例えば、遺言者が公正証書遺言に残した内容が、ある者からの脅迫によって作成された場合、「真実性」に欠けますので、利害関係人は「脅迫」によって作成された事実を立証することで遺言の内容を争うことができるのです。しかしながら、このことは極めて難しいと言わざるを負えません。
公正証書によって遺言を作成するには、次の5つの要件を備えなければなりません。
1. 証人2人以上の立会があること。
2. 遺言者が遺言の主旨を公証人に口述すること(聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、又は筆談によって口述に代えることができます)。
3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ(遺言者又は証人が聴覚・言語機能障害者である場合には、手話通訳により読み聞かせに代えることができる)又は閲覧させること。
4. 遺言者と証人が、筆記の正確なことを承認したうえで、各自署名押印すること。ただし、遺言者が署名押印することができない場合は、公証人がその事由を付記して署名に代えることができる。
5. 公証人が、その証書は上記1.〜4.までの方式にしたがって作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
実務では、事前に数度公証人と打合せをします。公正証書作成日の当日は、公正証書遺言はできあがっていますので2.〜5.に要する時間は30分ほどで済みます。
依頼を頂いた場合は、公証人との打合せも行政書士である筆者が致しますので、依頼された方が公証役場に出向くのは原則として作成日当日の1回で済みます。
公正証書遺言の長所
1. 公証人が作成するから、内容が明確で、証拠能力が高く、安全で、後日紛争の生ずるおそれが少ない。
2. 遺言書原本を公証人が保管するため、偽造・変造・滅失・隠匿・未発見のおそれがない。
3. 字を書けない方でも作成できる。
4. 家庭裁判所の検認を要しない。
公正証書遺言の短所
1. 公証人が関与するため、作成手続きが煩雑である。
2. 遺言の存在と内容を秘密にしておくことができない。
3. 作成のための公証人の手数料等の費用がかかる。
4. 証人2人以上の立会いを要する。
短所の1.については、行政書士などの法律職の者に依頼すれば大幅に軽減することが出来ます。同様に2.については、立会人を守秘義務が課せられている法律職に依頼すれば秘密にしておくことができます。
作成手数料は、相続財産によって違いますが平均3万円から5万円程度だと思います。
「公正証書遺言」は、遺言者が公証人に遺言の主旨を伝え、これを公証人が公正証書として作成する遺言です。公正証書とは、法務大臣によって任命された国家公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことをいいます。
公正証書遺言は自筆証書遺言に比べて費用や手間がかかりますが、その分メリットが非常に多い遺言です。
次回から公正証書遺言について詳しく見ていくことにしましょう。
これまで自筆証書遺言について述べてきました。
自筆証書遺言のまとめとして「長所と短所」について考えてみましょう。
長所は何といってもその「手軽さ」です。読み書きできる方なら、証人の必要もなく独りで、いつ、どこででも作成できる最も簡易な遺言です。
証人の必要がありませんから遺言をした事実もその内容も秘密にすることができます。
一方、短所は長所の裏返しです。
詐欺・脅迫をされて書かれた可能性、紛失・偽造・変造・隠匿などの恐れが常につきまといます。
方式が不備で無効になってしまったり、内容が不完全で「争族」に発展する場合もあります。また、執行に当たって家庭裁判所の「検認手続(民法1004条)」を要します。
つまり、「手軽な反面様々な危険性も秘めているのが自筆証書遺言である。」ということができます。自筆証書遺言を残した方、これから書かれる方は必ず法律専門家に確認をしてもらうことをお勧めします。
次回からは公正証書について見て行こうと思います。
その6「相続財産の特定」について
相続対象物件のどの範囲かが特定できなければ無効です。
不動産の表示は、登記されている場合は「登記簿謄本」、登記されていない場合は「固定資産課税台帳登録証明書」などの表示とおりに記載しましょう。理由は、相続による所有権の移転登記をする際に、登記簿謄本などの記載と異なっていると、登記が受理されないことがあるからです。
動産その他の財産を表示する場合は、他の同種の物件と混同しないように特定する必要があります。例えば、「○○株式会社の株式何万株」とか「△△銀行□□支店の遺言者名義の定期預金全部」というように特定して記載しましょう。
その5「人の特定」について
人の表示については、もし同姓同名の方がいる場合は、氏名のほかに住所とか年齢を併記しましょう。法定相続人の場合には、「妻○○子」とか「長男○○夫」など書けば十分です。氏名を正確に書くことはいうまでもありません。
その4「表題と前文」について
よく「遺言書の表題は『遺言書』とか『遺言状』と書かなければいけないのですか?」というご質問を受けます。しかし、民法に、「遺言書に表題を書かなければならない。」という条文はありませんから、表題に「遺言書」・「遺言状」・「遺書」とか、前文に「・・・の遺言をする」とかの記載は必要ありません。
しかし、遺言であることを明確にするために、表題か前文のどちらかに最小限の記載をすることをお勧めします。
その3「様式」について
様式についても制限はありません。問題は、遺言書が2枚以上になった場合に、綴じ合わせて契印するかどうかという点です。
判例では、「全体として1通の遺言書であることが外形的に確認できれば」、@糊継ぎしただけで契印のない場合、A契印もなく綴じ合わせもない場合、のいずれも有効としています。
もし、遺言書が2枚以上になった場合は、綴じ合わせて契印を押しましょう。その方が争う余地が少なくなります。