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2005年08月30日

遺言の無効〜その2

 前回に引き続き、遺言の無効についてお話しします。

 「(3)遺言をするときにおいてその能力を有しない者がした遺言(民法963条)」が無効とは、自分の行為の結果を判断できない精神能力の者がした遺言は無効になることを意味します。

以下に判例を紹介します。

(1)公証人が重病の遺言者に話しかけ、遺言者が「単に肯定又は否定の挙動をした」に過ぎないときは、口授があったものとはいえない、とした事例。
(2)脳溢血後遺症の脳動脈硬化症のため、「中程度の人格水準以下と痴呆がみられ、是非善悪判断能力並びに事理弁識能力に著しい障害」があり、遺言に必要な精神能力を欠く、とした事例。

 精神的・肉体的に不安定な状態で作成された遺言書は「争族」の種になりかねません。遺言は、精神的・肉体的に健康な状態のときに作成することが肝心です。

2005年08月23日

遺言の無効〜その1

 遺言は本来、遺言者による自己の財産の自由な処分ができることを認めた制度です。 
しかし、以下の(1)〜(4)の場合、遺言そのものが無効とされます。

「遺言の無効」とは、遺言をしたときから遺言としての効力がないことをいいます。

(1) 法定の方式によらない遺言(民法960条)
(2) 満15歳に達しない者がした遺言(民法961条)
(3) 遺言をするときにおいてその能力を有しない者がした遺言(民法963条)
(4) 所定の方式によらない口がきけない者がした遺言(民法972条)
(5) 2人以上の者が同一の証書でした遺言(民法975条)

「(1)法定の方式によらない遺言」は、自筆証書遺言の場合、遺言書の全文、日付、署名を遺言者が自書し、印がおされていなければなりません(民法968条)。

 (3)、(5)の解説は、次号に譲ります。

2005年08月18日

原則的な遺言の効力発生時期

 遺言は、遺言者が法定の方式にしたがって遺言書を作成した時に成立します。
しかし、その「効力」は遺言者が死亡したときから発生します(民法985条第1項)。

 また、遺言は、いつでも取り消すことができます(民法1022条)。
したがって遺言者の生存中は、受遺者には何らの法律上の権利は生じません。

2005年08月12日

遺言の撤回方法

 一度書いた遺言を撤回する方法は、
(1)新しく遺言を書いた場合。
(2)遺言書を破棄した場合。
(3)遺言の対象とした財産を生前に処分した場合。
(4)身分関係の変動による場合、の4つがあります。

今回は(2)の「遺言書を破棄した場合」についてご説明します。

 遺言書を破棄する方法は、遺言書を焼き捨てたり、切り捨てたりする他、遺言書を黒く塗り潰し、元の文字を読めなくする行為が該当します。
 注意を要するのは、破棄は遺言書自体についてなされなければならないということです。
自筆証書遺言であれば、あなたの手元にある自筆証書遺言の原本を破棄すればよろしいです。しかし公正証書遺言の場合は、あなたの手元にあるのは「正本」か「謄本」です。あなたの署名のある「原本」は公証人役場で保存されています。ですからあなたの手元にある公正証書を破いても、それでは破棄したことになりません。この場合は、改めて遺言を書く必要があります。十分注意しましょう。

2005年08月05日

遺言の撤回

 遺言は、遺言時と死亡時との間には相当の時間的な隔たりがあるのが通常です。その間に、遺言者の考えが変わることも十分あります。その場合はどうしたらよいでしょうか?
 遺言者は、何時でも、自由に遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。これを、「遺言撤回の自由」といいます。
 
 遺言撤回の自由を確保するために、遺言者は、その遺言の取消権を放棄することができません(民法1026)。ですから、遺言者は、遺言書に「この遺言を今後撤回しない」と記載しても、また、受遺者その他の利害関係人に対し遺言を撤回しない旨の約束をしても、これに拘束されることはありません。
このことは、自筆証書遺言であろうと、公正証書遺言であろうと、変わりません。どちらも撤回は自由です。

 また、民法は、遺言の撤回を詐欺又は脅迫によって妨げた者を相続欠格者又は受遺欠格者と規定しています(民法891・965)

 次回は遺言の撤回方法についてお話しします。

2005年08月01日

公正証書遺言作成上の注意事項(その2)

 公正証書遺言書を作成するために準備するものをまとめてみましょう。

(1) 遺言書の実印と印鑑証明書
(2) 証人2名の認印とその証人の氏名・住所・生年月日・職業を記載したメモ又は住民票
(3) 相続人の戸籍謄本・住民票、受遺者の住民票(受遺者が法人の場合は、法人の登記簿謄本)
(4) 不動産の権利証又は、登記簿謄本
(5) 固定資産税評価証明書又は評価通知書
(6) (1)〜(5)の他に、公証人が指示した資料等

※以上は、一般的な例です。遺言書の内容によって異なる場合があります。