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シリーズ:相続の現場から〜ギリギリの遺言書 第二回

田中さんの自宅に伺った私は、早速父親と面会をした。
「初めまして、行政書士の竹内です。お父様が遺言書を遺したいということで伺いました。」
名刺を差し出すと、父親は、「遠いところご苦労様です。」名刺を受け取った。

まず私がしなければならないことは、本当に父親が自分の意思で遺言書を作成する意思があるのかどうかの確認をすることだった。もしここで会話につじつまが合わないようだと、この仕事は断らなくてはならない。そこで私は父親と二人きりにしてもらい、残したい遺言の内容を聞くことにした。
父親は複数の不動産を所有しており、その各々を子供たちに相続させ、かつ預貯金も子供に平等に分け、残りの株券などを含めた財産は同居している長男の田中さんに相続させたい、という内容を話してくれた。

声は少し弱々しかったが意思ははっきりしていた。長男の田中さんによると、父親の体調は日によって違いがあるとのことだ。しかし『これならば遺言書を作成することができそうだ』私は確信した。

私が法律に則った形で作成を手伝うことのできる遺言書には『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』がある、という説明をし、それぞれの形で作成した場合の内容を話し合った結果、法的にもより確実な『公正証書遺言』を作成することに決めた。私は早速公正証書遺言作成の手配に取りかかった。

(つづく)

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