シリーズ:相続の現場から〜ギリギリの遺言書 第四回
私は、田中さんの父親の最寄りの公証役場の公証人に、至急公正証書遺言を作成したい、との依頼をした。田中さんの父親の事情を話し、事の緊急性を説明すると、その公証人もスケジュールをやりくりしてくれて、
「早速今日にでも打合せをしましょう。」と申し出てくれた。
そこで私は集めた書類と遺言書の案文をカバンに詰め、K市の公証役場に急いだ。
書類の不足も無く、公証人との打合せも無事に済ませた。その打ち合わせの二日後に、遺言者である田中さんの父親と、(私を含めた)証人2名が公証役場に行き、正式な遺言書を作成することに決まった。
通常、遺言者本人が公正証書遺言を作成する場合には、打合せのために公証役場に何度か通うことになる。私がお手伝いすることで、遺言者が公証役場に行くのは、遺言書を作成する当日のわずか1回で済ませることができる。このことは、特に高齢者で体が不自由な方にとっては大きな負担軽減になるのである。
(つづく)