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2007年06月01日

特別コラム「昨今の遺言事情」

今回は、遺言について私が日頃思っていることを書きたいと思います。  

私は現在41歳です。最近よく同年代の友人から「どうしたら親に遺言を書いてもらえるだろうか?」という相談が寄せられています。
友人の言い分は『今両親と同居している。もちろん最後まで面倒を見るつもりである。今は元気だがいずれは介護が必要になるだろう。そうなれば妻や子供の協力は絶対に必要になるし バリヤフリーの改築費や入院費などお金もかかるであろう。長男の自分としては親の面倒を見ることは当然だろうが、もし親が亡くなった時に妹や弟と同じ相続の割合であるということは正直釈然としない。ましてや介護の中心を担う妻の相続はゼロであることは納得しがたい。そこで両親に実情に合った内容の遺言書を残して欲しいのだがなかなか話しにくい。』ということです。

このような悩みを抱えている40代・50代の方は多いのではないでしょうか。友人の言うとおり、両親の介護をした子供としなかった子供も法定相続では相続できる割合は同じです。「法定相続が理不尽である」とよくいわれるのはこのようなことがあるからです。

「子供たちはもし私が亡くなってもちゃんと話合いで遺産を分けられるから遺言書なんて必要ないですよ。」とか「遺すほどの財産はないから遺言書は必要ないですよ。」と多くの高齢者の方はおっしゃいます。
しかし仲良しな子供たちも親が亡くなった途端に封じ込められていた不満が一気に噴出して修復しがたい亀裂が生じてしまうことが実は多いのです。「長男はいつも新品の洋服を買ってもらっていたのに二男の自分はお古ばかりだった。」、「お姉さんは結婚式の時に親からお金をたくさん出してもらったのに私はお姉さんの半分も出してもらえなかった。」など他人から見れば些細な ことから大きな亀裂に発展してしまうことも珍しくありません。また、相続は遺産の多い少ないよりも「分ける割合」で揉めることが多いのです。
  
私は友人宅に伺ってご両親と友人夫婦に相続と遺言書の効果についてご説明差し上げました。ご両親は、一度遺言書を残したら二度と変更できないと思っていたなど「誤解」もありました。  

それから3ヵ月後、ご両親は長男に家と土地を残し現金は長男の嫁と子供たちで平等に分ける内容の公正証書遺言を残しました。遺言書を作成するに当たって親子で話し合う機会もできて よかったともおっしゃっていました。

考えた時が残し時です。
遺言書をお考えでしたら今年こそ残されてみてはいかがでしょうか。

2006年07月26日

「内縁」(ないえん)」その2

 戸籍上においては、内縁の妻が出生した子は嫡出でない子であり、血縁上の父に認知されても父母が婚姻しない限り嫡出子とはなりません。嫡出でない子は母の氏を称して母の戸籍に入籍し(民790条2項、戸18条2項)、母の親権に服します。

2006年07月18日

「内縁」(ないえん)」その1

 内縁とは、社会一般から夫婦と認められる実質を有しながら、婚姻の届出(民739条、戸74条)を欠くために、法律上は夫婦と認められないものをいいます。

 かつては、内縁は法律上なんらの効果を生じないものとされていましたが、その後、次第に法律上の夫婦に準じた取扱いをするようになりました。判例は、内縁を不当に破棄した物は、相手方に対し物質的及び精神的の全損害を賠償する責任を負うとし、また、社会保障制度に関する法律においても、内縁はしばしば法律上の婚姻に順ずる効果を与えられています。

2006年07月12日

「待婚期間」(たいこんきかん)」その2

 待婚期間を定めているのは、再婚後に生れてくる子が前夫の子か、後夫の子かの父性推定の混乱を避けるためですから、その混乱が生じない次の場合は待婚期間の規定は適用されません。
(1)女が前婚によって懐胎した子を出産した場合
(2)夫の生死が3年以上不明との理由で離婚判決が確定した後に再婚する場合
(3)夫の失跡宣言により婚姻が解消した後に再婚する場合
(4)前婚の夫と再婚する場合

2006年06月20日

「待婚期間」(たいこんきかん)」その1

 女が再婚する場合には、前婚の解消または取消しの日から6ヶ月を経過したあとでなければなりません(民733条1項)が、これを待婚期間あるいは再婚禁止期間といいます。

 待婚期間を定めているのは、再婚後に生れてくる子が前夫の子か、後夫の子かの父性推定の混乱を避けるためで、一定の期間を空けなければ女は再婚できないとしています。

2006年06月08日

「重婚」(じゅうこん)」

 配偶者のある者が重ねて婚姻することを重婚といいます。

 民法は、配偶者のあるものは、重ねて婚姻することができない(民732条)としています。これは、一夫一婦制の原則を表明したものです。ここで言う配偶者とは、法律上の配偶者であることはいうまでもありません。
 したがって、事実上の婚姻関係(内縁)にあたる者が他の者と婚姻届をした場合、または婚姻により法律上の配偶者を有する者が他の者と事実上の婚姻関係(内縁)になった場合は、いずれも法律上の重婚には当たりません。

2006年06月01日

「婚姻」(こんいん)」その3

 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称し(民750条、日本人と外国人の婚姻には、同条は適用されません。)、原則として夫婦について新戸籍が編成されます(戸16条)。

 婚姻の効果として、未成年者は成年に達したものとみなされます(民753条)。また、父の認知した子は父母の婚姻により嫡出子の身分を取得します(民789条第1項)。

2006年05月13日

「婚姻」(こんいん)」その2

 市区町村長に届出する婚姻届は、当事者の合意を証するため届出書に当事者および証人2名が署名・押印するとともに、婚姻の実質的成立要件を備えていること、すなわち、
(1)婚姻適齢期に達していること(民731条)
(2)重婚でないこと(民732条)
(3)待婚期間を経過していること(民733条)
(4)近親婚でないこと(民734〜736条)
(5)未成年者の婚姻には父母の同意があること(民737条)
などを、届出書の記載等によって明らかにして届出なければなりません(民740条)。

2006年04月03日

「婚姻」(こんいん)」その1

 婚姻は、男と女が合意によって、終生の共同生活を目的とする両性の結合です。婚姻の成立は、戸籍法の定めに従った届出が、戸籍事務管掌者である市区町村長によって受理されることによって成立します(民739条、戸74条)。

 したがって、結婚式を挙げ、夫婦として共同生活を営んでいても、婚姻の届出をしない限り、法律上の夫婦と認められません。

2006年03月19日

「養子縁組の無効」(ようしえんぐみのむこう)」その3

 未成年者を養子とする場合の夫婦共同縁組違反の縁組及び代諾権のない者の代諾による縁組は、縁組意思を欠くものとして原則として無効です。
 ただし、前者については、例外として特段の事情がある場合には単独縁組として有効とされる場合があります。また、後者については養子自らの追認により有効となる場合があります。

2006年03月03日

「養子縁組の無効」(ようしえんぐみのむこう)」その2

縁組の意思がないとして無効になる例としては、(1)当事者が知らない間に第三者が虚偽の届出をした場合。この場合は、人違いではないが、当事者の意思を欠くものとして無効です。また、当事者の一方(養親又は養子)のみが恣意的に縁組の届出をした場合。この場合も、当事者間の縁組意思を欠くものとして無効です。(2)縁組意思とは、当事者間に親子関係を創設しようとする意思であるから、何らかの方便または仮装のための縁組は真の縁組意思によるものとはいえないので無効です。

2006年02月15日

「養子縁組の無効」(ようしえんぐみのむこう)」その1

 養子縁組は、人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときは、無効とされています(民802条1号)。また、民法の規定では、当事者が縁組の届出をしないときも無効とされています(民802条2号)が、縁組の届出をしない場合は、無効というよりは、むしろ縁組の不成立と解されます。

2006年02月02日

「養方と実方」(ようかたとじつかた)」

 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子たる身分を取得し(民809条)、養親の血族との間にも法定血族関係を生じます(民727条)。他方、養子は、縁組によって実親及び実親を通じての親族関係から離脱するものではないから、その自然血族関係もそのまま保有します(但し、「特別養子縁組」は除く。)
 この場合、縁組によって生じた法定血族関係を「養方の親族」と呼び、実親を通じての自然血族関係を「実方の親族」と呼びます(民806条、807条)。

 したがって、養子は「養方の親族」と「実方の親族」の両方の親族と相続関係が生じます。なお、特別養子縁組においては、縁組によって養子と実方の父母及びその血族との親族関係は終了するので「実方の親族」との相続に関する規定の適用はありません。

2006年01月21日

「特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)」

 特別養子縁組とは、縁組によって養子となった者が、実方(「実方(じつかた)」は次回説明します。)の血族との親族関係が終了することになる縁組のことを言います(民817条の2,817条の9)。

 特別養子縁組が成立するための要件は、
(1)養親となる者は、配偶者のある者であること(民817条の3)
(2)養親の年齢が25歳に達していること(民817条の4)
(3)養子となる者の年齢が6歳に達していないこと(民817条の5)
(4)父母の同意があること(民817条の6)
等があります。

 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であること、その他特別の事情が瑠場合において、この利益のため特に必要があるとき(民817条の7)に、養親となる者の請求により、家庭裁判所において成立させるものです(民817条の2)。
 なお、特別養子縁組によって、養子になった者と実方の血族との親族関係は終了します(民817条の9)。このことから、実方との相続関係は生じないことになります。

 以上から、特別養子縁組は、「子の利益」を最優先させる養子縁組であると言えます。

2006年01月13日

「養子縁組(ようしえんぐみ)」

 養子縁組は、嫡出親族関係にない両当事者の間に、嫡出親子と同一の法律関係を創設することを目的として行われるものです(民727,809条)

 養子縁組は、戸籍法の定める届出によって成立します(民799,739条)。

2005年12月19日

「遺言認知(いごんにんち)」2の2

 遺言認知の効力は、遺言者である父親の死亡の時に生じます(民985条1項)。
その効力が生じた時は、遺言執行者は、その就職の日から10日以内に、認知に関する遺言書の謄本を添付して、任意認知又は胎児認知の届出に関する規定に従い、届出人である遺言執行者の所在地又は両当事者(認知する父又は認知される子)の本籍地の市区町村長に届出をしなければなりません(戸籍法64条)。
 以上から、遺言認知をする場合は、「遺言執行人」を遺言書の中で指定しておくべきです。

2005年12月15日

「遺言認知(いごんにんち)」2の1

 「認知」の最後として、「遺言認知」を取り上げます。今年テレビで高視聴率を上げた番組「女系家族」(山崎豊子原作、米倉涼子主演)では、遺言認知が大きな役割を果たしていました。

 嫡出でない子を血縁上の父が遺言の方式によって認知することを「遺言認知」と言います(民781条2項)。遺言認知は、父が生存中に認知できない事情がある場合、例えば、父の死後に相続権を与える等のためにすることが多いようです。

 この認知は、遺言に関する要件及び方式(民960条以下)に従ってされることを要することはもちろんのこと、認知に関する要件(民779条他)を備えていなければなりません。

2005年12月06日

「認知(にんち)」3の3

 日本では、前回ご説明したとおり認知制度を採っていますが、嫡出でない子とその母との母子関係については、原則として、母の認知を待つまでもなく、分娩の事実によって明白であるから、この出生により当然に発生するものとし、事実主義の立場を採っています。

 なお、事実主義とは、親子関係の成立について、父又は母が自己の子であることを承認(認知)するまでもなく、その間に血縁関係が客観的に存在すれば、法律上も親子関係を認めようとする法制のことです。

2005年12月01日

「認知(にんち)」3の2

 父が任意に認知をしない場合には、子、その直系卑属又はこれらの法定代理人が、裁判所に対し認知の訴えを提起し(民787条)、その裁判の確定によって父子関係が認められたときは、父の意思にかかわらず認知の効力が生じます。

これを強制認知又は裁判認知と称しますが、この強制認知には、父が生存中にする生前認知(同条本文)と、父の死亡後にする死後認知(同条但し書き)があります。

2005年11月17日

「認知(にんち)」3の1

 嫡出でない子と、その血縁上の父との間の親子関係の成立については、父が自己の子であることを承認することによって、初めて父と子の間に法律上の父子関係を発生させる、とするのが認知制度です。

 日本では、認知の法制を採っていますが、認知には、父が自らの意思表示で、自分の子として認める任意認知(民法779条)と子の側から裁判所へ認知の訴えをし、その裁判の確定によって父子関係が成立する強制認知(民787条)とがあります。

 任意認知には、届出により効力を生ずるもの(民781条1項、戸60条)と、遺言によって効力を生ずるもの(民781条2項、戸64条)とがあります。

2005年11月06日

出生届関係の知識「嫡出でない子(ちゃくしゅつでないこ)」2の2

 嫡出でない子は、母の氏を称し(民790条2項)、母の戸籍に入ります(戸18条2項)。父に認知された後に、家庭裁判所の許可を得た場合は、父の氏を称することができます(民791条1項)。

 また、嫡出でない子が未成年の間は母の親権に服することになりますが(民818条)、子が父に認知されている場合において、これを父母の協議又は審判によって、父を親権者とすることができます(民819条4項・5項)。

2005年11月01日

出生届関係の知識「嫡出でない子(ちゃくしゅつでないこ)」2の1

 法律上の婚姻関係にない男女の間に生れた子を「嫡出でない子」又は「非嫡出子」といいます。これに対し、婚姻関係にある父母の間に生れた子を「嫡出子」といいます。

 嫡出でない子と母との間の親子関係は、原則として母の認知を必要としません。理由は、分娩の事実によって当然に親子関係が発生すると解されているからです。

 一方、父との親子関係は、父に認知されなければ、父子関係は発生しません。

2005年10月24日

出生届関係の知識「準正嫡出子(じゅんせいちゃくしゅつし)」

 嫡出でない子に対して嫡出子たる身分を与えることを準正といいます。そしてその身分を取得した子を一般に準正嫡出子といいます。
 嫡出でない子が準正嫡出子となるためには、血縁上の父母との間に法律上の親子関係を確定すること(認知)と、その父母が婚姻していることの2つの要件が備わっていることが必要です。

 具体的には、(1)嫡出でない子を血縁上の父が認知した後にその父母が婚姻して、その子が嫡出子たる身分を取得する「婚姻準正」。また、(2)嫡出でない子の血縁上の父母が婚姻した後に、その父が認知をすれば、その子は嫡出の身分を取得する「認知準正」の二つの方法があります。
 なお、準正は、子が既に死亡している場合にも認められます(民789条3項・783条2項)。

2005年10月18日

出生届関係の知識「推定されない嫡出子(すいていされないちゃくしゅつし)」

 父母の婚姻成立後200日以内に出生した子は、民法上の規定による嫡出の推定を受けませんが、母の夫によって懐胎された子であれば、生来の嫡出子と解されています。
 このような子を「推定されない嫡出子」又は推定を受けない嫡出子と呼んでいます。
「できちゃった婚」の場合、「推定されない嫡出子」に該当する場合は多いと思います。

 推定されない嫡出子は、生まれながらの嫡出子であることに違いありませんから、父の認知を得るまでもなく推定される嫡出子と同じく嫡出子の出生届をすることができます。
したがって、父からはもとより、母からもその届出は認められます。

2005年09月24日

出生届関係の知識「推定される嫡出子(すいていされるちゃくしゅつし)」

 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定し(民法772条1項)、婚姻成立の日から200日後又は婚姻解消若しくは取消しの日から300日以内に生れた子については、婚姻中に懐胎したものと推定しています(同条2項)。

 嫡出子であることの第一の要件は、その子の母が婚姻関係にあることですが、これは婚姻の届出の有無により容易に判断できます。しかし、第二の要件である母がその夫によって懐胎したか否かについては容易に判断できないので、この推定規定が設けられています。

2005年09月20日

出生届関係の知識「嫡出子(ちゃくしゅつし)」2の2

 嫡出子に対し、法律上の夫婦でない男女間に生れた子は、「嫡出でない子」又は「非嫡出子」といいます。

 戸籍の記載においては、嫡出子は、父母との続柄が「長男(女)、二男(女)」と表記されますが、嫡出でない子は、「男(女)」と表記されます。

 嫡出子は、父母の子を称し(民790条)、父母の戸籍に入り(戸18条1項)、その子が未成年の間は父母の親権に服することになります(民818条1項)。

2005年09月16日

出生届関係の知識「嫡出子(ちゃくしゅつし)」2の1

 嫡出子(ちゃくしゅつし)とは、一般的には法律上正当な婚姻関係にある父母の間に生まれた子のことをいいます。つまり、婚姻届が受理された男女の間に生まれた子のことです。

 この嫡出子には、民法上、「推定される嫡出子」(民772条)と「推定されない嫡出子」の区別があります。これらについては、後日詳しく見ていきます。

 また、嫡出子には生まれたときからの嫡出子(「生来的嫡出子」)の他、嫡出でない子として生まれた後、父母の婚姻及び父の認知の要件を備えて、嫡出子の身分を取得する「準正嫡出子」(民789条)がありますが、いずれも嫡出子であることに変わりはありません。

2005年09月12日

出生届関係の知識「出生(しゅっしょう)」2の2

 出生があったときは、出生の日から起算して14日以内(国外で出生があったときは、3ヶ月以内)に、原則として、出産に立ち会った医師、助産婦などの出生証明書を添付して届出をしなければなりません(戸籍法49条)。

 届出義務者は、(1)嫡出子のときは父又は母であり、(2)子の出生前に父母が離婚をした場合は母です(戸52条1項)。(3)また、嫡出でない子のときは母です(同条2項)。

2005年09月08日

出生届関係の知識「出生(しゅっしょう)」2の1

 遺言・相続を理解するには、親子関係をはじめとする親族法と戸籍に関する知識が欠かせません。そこでしばらく親族法に関する基礎知識を見ていきます。まずは、人が生まれてくる「出生」から見てみましょう。

民法第1条の3には「私権の享有は出生に始まる」と規定されていますが、これは、すべての自然人(人)は、出生によって権利能力を取得することを表しています。

いつを出生の標準とするかについて、民法では、胎児が生きて母体から全部露出すれば出生としています。(「全部露出主義」)

ちなみに、刑法では、一部でも露出すれば出生であるとしています。(「一部露出説」)
したがって、一部でも露出した後に殺害すれば堕胎罪ではなく、殺人罪とされます。

2005年09月03日

遺言の無効〜その3

 「(5)2人以上の者が同一の証書でした遺言(民法975条)」は無効です。

例えば、同一の自筆証書遺言に夫婦双方の遺言内容を書いて連名で署名捺印した場合が該当します。

 どんなに夫婦仲が良くても、遺言書は別々に残さなくてはいけません。
十分注意しましょう。

2005年08月30日

遺言の無効〜その2

 前回に引き続き、遺言の無効についてお話しします。

 「(3)遺言をするときにおいてその能力を有しない者がした遺言(民法963条)」が無効とは、自分の行為の結果を判断できない精神能力の者がした遺言は無効になることを意味します。

以下に判例を紹介します。

(1)公証人が重病の遺言者に話しかけ、遺言者が「単に肯定又は否定の挙動をした」に過ぎないときは、口授があったものとはいえない、とした事例。
(2)脳溢血後遺症の脳動脈硬化症のため、「中程度の人格水準以下と痴呆がみられ、是非善悪判断能力並びに事理弁識能力に著しい障害」があり、遺言に必要な精神能力を欠く、とした事例。

 精神的・肉体的に不安定な状態で作成された遺言書は「争族」の種になりかねません。遺言は、精神的・肉体的に健康な状態のときに作成することが肝心です。

2005年08月23日

遺言の無効〜その1

 遺言は本来、遺言者による自己の財産の自由な処分ができることを認めた制度です。 
しかし、以下の(1)〜(4)の場合、遺言そのものが無効とされます。

「遺言の無効」とは、遺言をしたときから遺言としての効力がないことをいいます。

(1) 法定の方式によらない遺言(民法960条)
(2) 満15歳に達しない者がした遺言(民法961条)
(3) 遺言をするときにおいてその能力を有しない者がした遺言(民法963条)
(4) 所定の方式によらない口がきけない者がした遺言(民法972条)
(5) 2人以上の者が同一の証書でした遺言(民法975条)

「(1)法定の方式によらない遺言」は、自筆証書遺言の場合、遺言書の全文、日付、署名を遺言者が自書し、印がおされていなければなりません(民法968条)。

 (3)、(5)の解説は、次号に譲ります。

2005年08月18日

原則的な遺言の効力発生時期

 遺言は、遺言者が法定の方式にしたがって遺言書を作成した時に成立します。
しかし、その「効力」は遺言者が死亡したときから発生します(民法985条第1項)。

 また、遺言は、いつでも取り消すことができます(民法1022条)。
したがって遺言者の生存中は、受遺者には何らの法律上の権利は生じません。

2005年08月12日

遺言の撤回方法

 一度書いた遺言を撤回する方法は、
(1)新しく遺言を書いた場合。
(2)遺言書を破棄した場合。
(3)遺言の対象とした財産を生前に処分した場合。
(4)身分関係の変動による場合、の4つがあります。

今回は(2)の「遺言書を破棄した場合」についてご説明します。

 遺言書を破棄する方法は、遺言書を焼き捨てたり、切り捨てたりする他、遺言書を黒く塗り潰し、元の文字を読めなくする行為が該当します。
 注意を要するのは、破棄は遺言書自体についてなされなければならないということです。
自筆証書遺言であれば、あなたの手元にある自筆証書遺言の原本を破棄すればよろしいです。しかし公正証書遺言の場合は、あなたの手元にあるのは「正本」か「謄本」です。あなたの署名のある「原本」は公証人役場で保存されています。ですからあなたの手元にある公正証書を破いても、それでは破棄したことになりません。この場合は、改めて遺言を書く必要があります。十分注意しましょう。

2005年08月05日

遺言の撤回

 遺言は、遺言時と死亡時との間には相当の時間的な隔たりがあるのが通常です。その間に、遺言者の考えが変わることも十分あります。その場合はどうしたらよいでしょうか?
 遺言者は、何時でも、自由に遺言の全部又は一部を撤回することができます(民法1022条)。これを、「遺言撤回の自由」といいます。
 
 遺言撤回の自由を確保するために、遺言者は、その遺言の取消権を放棄することができません(民法1026)。ですから、遺言者は、遺言書に「この遺言を今後撤回しない」と記載しても、また、受遺者その他の利害関係人に対し遺言を撤回しない旨の約束をしても、これに拘束されることはありません。
このことは、自筆証書遺言であろうと、公正証書遺言であろうと、変わりません。どちらも撤回は自由です。

 また、民法は、遺言の撤回を詐欺又は脅迫によって妨げた者を相続欠格者又は受遺欠格者と規定しています(民法891・965)

 次回は遺言の撤回方法についてお話しします。

2005年08月01日

公正証書遺言作成上の注意事項(その2)

 公正証書遺言書を作成するために準備するものをまとめてみましょう。

(1) 遺言書の実印と印鑑証明書
(2) 証人2名の認印とその証人の氏名・住所・生年月日・職業を記載したメモ又は住民票
(3) 相続人の戸籍謄本・住民票、受遺者の住民票(受遺者が法人の場合は、法人の登記簿謄本)
(4) 不動産の権利証又は、登記簿謄本
(5) 固定資産税評価証明書又は評価通知書
(6) (1)〜(5)の他に、公証人が指示した資料等

※以上は、一般的な例です。遺言書の内容によって異なる場合があります。

2005年07月28日

公正証書遺言作成上の注意事項(その1)

 公正証書遺言の作成場所は、公証人役場の他、遺言者の入院先の病院や自宅などに公証人の出張を求めて作成することも可能です。

 遺言者が外国にいる場合はどこで公正証書遺言を作成すればよいのでしょうか?
その場合は、日本の領事が公証人の職務を行います。(民法984条)

2005年07月27日

公正証書遺言の保管

 公正証書遺言書は、「原本」のほか、「正本」・「謄本」の合計3通が作成されます。原本は公証役場で20年間保管され、正本は遺言執行者が執行のため保管し、謄本は遺言者が保管します。しかし、遺言執行者の指定がない場合には、通常、正本は遺言者が保管し、謄本は相続人の一人が保管します。また、正本・謄本とも遺言者が保管する場合もあります。

 公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されていますから、偽造・変造、破棄を企てる者をけん制し、紛失や焼失のおそれがありません。このように公正証書遺言は保管上も安全な方式です。また、平成元年以降日本公証人連合会では、「遺言検索システム」として、全国の公証役場で作成された公正証書遺言及び秘密証書遺言につき、コンピューターによりその遺言者等を登録しています。そして、この登録された遺言の検索を、遺言者の死後に相続人、受遺者その他の法律上の利害関係人は、公証役場にも依頼できるようになっています。依頼を受けた公証役場では、日本公証人連合会にその検索を依頼し、検索結果を得て、依頼者に回答されます。したがって、遺言者は、公証役場で遺言書を作成したことだけを相続人らに明らかにしておけば、遺言者の死後、相続人らは容易に遺言書を発見することができます。

 私が遺言執行者となった場合は、アフターケアとして、年に1回ないし2回程度、一定時に依頼者(遺言者)に、遺言書の内容の変更の要否、相続人・受遺者の変更の有無などの照会を行っています。

遺言書作成や各種サービスに関するご相談は、ホームページからお願いします。
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2005年07月25日

公正証書遺言の証拠力

 公正証書遺言は、公文書ですから、成立については完全な証拠力を有します。しかし、遺言者の口授の真実性を保障しないから、利害関係人は反対の事実を立証することで、遺言の内容を争うことができます。

 例えば、遺言者が公正証書遺言に残した内容が、ある者からの脅迫によって作成された場合、「真実性」に欠けますので、利害関係人は「脅迫」によって作成された事実を立証することで遺言の内容を争うことができるのです。しかしながら、このことは極めて難しいと言わざるを負えません。

2005年07月22日

公正証書遺言の作成要件

 公正証書によって遺言を作成するには、次の5つの要件を備えなければなりません。

1. 証人2人以上の立会があること。
2. 遺言者が遺言の主旨を公証人に口述すること(聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、又は筆談によって口述に代えることができます)。
3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者と証人に読み聞かせ(遺言者又は証人が聴覚・言語機能障害者である場合には、手話通訳により読み聞かせに代えることができる)又は閲覧させること。
4. 遺言者と証人が、筆記の正確なことを承認したうえで、各自署名押印すること。ただし、遺言者が署名押印することができない場合は、公証人がその事由を付記して署名に代えることができる。
5. 公証人が、その証書は上記1.〜4.までの方式にしたがって作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

  実務では、事前に数度公証人と打合せをします。公正証書作成日の当日は、公正証書遺言はできあがっていますので2.〜5.に要する時間は30分ほどで済みます。

  依頼を頂いた場合は、公証人との打合せも行政書士である筆者が致しますので、依頼された方が公証役場に出向くのは原則として作成日当日の1回で済みます。

2005年07月19日

公正証書遺言の長所と短所

公正証書遺言の長所
1. 公証人が作成するから、内容が明確で、証拠能力が高く、安全で、後日紛争の生ずるおそれが少ない。
2. 遺言書原本を公証人が保管するため、偽造・変造・滅失・隠匿・未発見のおそれがない。
3. 字を書けない方でも作成できる。
4. 家庭裁判所の検認を要しない。

公正証書遺言の短所
1. 公証人が関与するため、作成手続きが煩雑である。
2. 遺言の存在と内容を秘密にしておくことができない。
3. 作成のための公証人の手数料等の費用がかかる。
4. 証人2人以上の立会いを要する。

短所の1.については、行政書士などの法律職の者に依頼すれば大幅に軽減することが出来ます。同様に2.については、立会人を守秘義務が課せられている法律職に依頼すれば秘密にしておくことができます。
作成手数料は、相続財産によって違いますが平均3万円から5万円程度だと思います。

2005年07月15日

公正証書遺言の意義

 「公正証書遺言」は、遺言者が公証人に遺言の主旨を伝え、これを公証人が公正証書として作成する遺言です。公正証書とは、法務大臣によって任命された国家公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書のことをいいます。

 公正証書遺言は自筆証書遺言に比べて費用や手間がかかりますが、その分メリットが非常に多い遺言です。

 次回から公正証書遺言について詳しく見ていくことにしましょう。

2005年07月11日

自筆証書遺言の長所と短所

 これまで自筆証書遺言について述べてきました。
自筆証書遺言のまとめとして「長所と短所」について考えてみましょう。

 長所は何といってもその「手軽さ」です。読み書きできる方なら、証人の必要もなく独りで、いつ、どこででも作成できる最も簡易な遺言です。
 証人の必要がありませんから遺言をした事実もその内容も秘密にすることができます。

 一方、短所は長所の裏返しです。
 詐欺・脅迫をされて書かれた可能性、紛失・偽造・変造・隠匿などの恐れが常につきまといます。
方式が不備で無効になってしまったり、内容が不完全で「争族」に発展する場合もあります。また、執行に当たって家庭裁判所の「検認手続(民法1004条)」を要します。

 つまり、「手軽な反面様々な危険性も秘めているのが自筆証書遺言である。」ということができます。自筆証書遺言を残した方、これから書かれる方は必ず法律専門家に確認をしてもらうことをお勧めします。

次回からは公正証書について見て行こうと思います。

2005年07月08日

自筆証書遺言を作成する上での注意点:その6

 その6「相続財産の特定」について

 相続対象物件のどの範囲かが特定できなければ無効です。
 不動産の表示は、登記されている場合は「登記簿謄本」、登記されていない場合は「固定資産課税台帳登録証明書」などの表示とおりに記載しましょう。理由は、相続による所有権の移転登記をする際に、登記簿謄本などの記載と異なっていると、登記が受理されないことがあるからです。
 動産その他の財産を表示する場合は、他の同種の物件と混同しないように特定する必要があります。例えば、「○○株式会社の株式何万株」とか「△△銀行□□支店の遺言者名義の定期預金全部」というように特定して記載しましょう。

2005年07月06日

自筆証書遺言を作成する上での注意点:その5

 その5「人の特定」について

 人の表示については、もし同姓同名の方がいる場合は、氏名のほかに住所とか年齢を併記しましょう。法定相続人の場合には、「妻○○子」とか「長男○○夫」など書けば十分です。氏名を正確に書くことはいうまでもありません。

2005年07月04日

自筆証書遺言を作成する上での注意点:その4

 その4「表題と前文」について

 よく「遺言書の表題は『遺言書』とか『遺言状』と書かなければいけないのですか?」というご質問を受けます。しかし、民法に、「遺言書に表題を書かなければならない。」という条文はありませんから、表題に「遺言書」・「遺言状」・「遺書」とか、前文に「・・・の遺言をする」とかの記載は必要ありません。

 しかし、遺言であることを明確にするために、表題か前文のどちらかに最小限の記載をすることをお勧めします。

2005年07月01日

自筆証書遺言を作成する上での注意点:その3

 その3「様式」について

 様式についても制限はありません。問題は、遺言書が2枚以上になった場合に、綴じ合わせて契印するかどうかという点です。
 判例では、「全体として1通の遺言書であることが外形的に確認できれば」、@糊継ぎしただけで契印のない場合、A契印もなく綴じ合わせもない場合、のいずれも有効としています。
 もし、遺言書が2枚以上になった場合は、綴じ合わせて契印を押しましょう。その方が争う余地が少なくなります。

2005年06月29日

自筆証書遺言を作成する上での注意点:その2

 その2「用紙・筆記具」について
 
 用紙・筆記具についても制限はありません。ですから、木板、石板、ガラス、布、メモ用紙などに書かれたものも差支えありません。しかし通常は、和紙や洋紙が用いられているのはご存知のとおりです。
 筆記具は、ボールペン、サインペン、筆、万年筆のいずれでも構いません。鉛筆でも構いませんが、擦り切れたり、改ざんされるおそれがありますので避けましょう。

2005年06月27日

自筆証書遺言を作成する上での注意点:その1

 これから6回にわたり自筆証書遺言を作成する注意点についてお話しします。「意外」なこともありますから是非お読み下さい。

 その1「用字・用語」について

 自筆証書遺言を作成するときの「用字・用語」については制限がありません。ですから用字は、かな・漢字はもちろんのこと、速記文字・点字でもかまいません。
 用語は、法律用語でなくても構いません。外国語でもよいのです。
 でも、もし外国語で書かれている遺言書を見つけても翻訳しなければ相続人も理解できないでしょう。法律で許されていても、あまり「例外」はなさらない方が無難です。

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2005年06月20日

自筆証書遺言とはどんな遺言か?(その5)

「遺言者が、遺言書に押印すること。」

 押印は、氏名の自書と同じ理由で、遺言者の同一性と遺言者の意思を確認するために要求されています。

 よく「押印は、印鑑証明のある実印でなければなりませんか?」というご質問を受けますが、実印に限らず認印でも結構です。
しかし、私は実印をお勧めしています。理由は実印の方がより遺言者が遺言を作成する意思であったことを担保する役目を果たすと考えるからです。

 また、判例では「拇印」でも有効とされていますが、後の争いの種となる可能性があるのでやめた方が無難です。

2005年06月17日

自筆証書遺言とはどんな遺言か?(その4)

「遺言者が、氏名を自書すること。」

 氏名の自書は、遺言者の同一性と、遺言が遺言者の意思によるものであることを明確にするために要求されています。したがって、氏名が明記されていない遺言書又は氏名を他人が書いた遺言書は無効です。
 遺言者本人と広く世間に知られているペンネームや雅号・芸名・屋号・通称などを用いてもかまいません。しかし、通常は戸籍上の氏名が用いられます。

2005年06月16日

自筆証書遺言とはどんな遺言か?(その3)

「遺言者が、日付を自書すること。」

 日付が要求されているのは、遺言の成立時期を明らかにし、遺言者が本当に自分の意思で書いたものかどうかを判断するためと、もし、内容の異なる複数の遺言書が出てきた場合にその前後を決定し撤回の有無の判定などのためです。従いまして、日付のない遺言は無効です。また、日付は自書しなければなりませんから日付印を用いたものも無効とされます。

 日付は遺言成立の日が確定できれば十分です。例えば、「私の○歳の誕生日」、「○回目の結婚記念日」という記載でもかまいません。しかし、通常は「平成17年6月11日」というように「年、月、日」で表します。無用な争いを避けるためにも「年、月、日」で日付を記載することをお勧めします。

2005年06月15日

自筆証書遺言とはどんな遺言か?(その2)

「遺言者が、遺言の全文を自書すること。」
民法が遺言書の全文を遺言者が自分で書くことを要求しているのは、遺言者の真意を判定するためと、遺言書の加除変更の危険を防止するためです。手で書くことができない人は口、腕、足で書いてもよいです。

 もし、自書の真偽が争われた場合は、筆跡鑑定を基本とし、遺言者の自筆能力、遺言の内容、その他の事情など諸般の状況証拠を考慮して判断されます。
従いまして、遺言者の健康状態が思わしくなく判断能力が乏しい状況で書かれた自筆証書遺言は「本当に自分の判断で書いたものだろうか?」と疑われて争いの種になる場合があります。「遺言は元気なうちに残す」ことが大事なのです。

以上から次のような自筆証書遺言は無効とされています。
 (1)タイプライターやワープロ、パソコンなど「機器を用いた場合」
 (2)テープレコーダーで吹き込んだ遺言
 (3)他人が代書した遺言

次回は遺言書の「日付」についてお話しします。

2005年06月13日

「自筆証書遺言」とはどんな遺言か?(その1)

 自筆証書遺言とは、遺言を残す人(遺言者)が遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、自分で印を押して作成する遺言です。(民法968条第1項)
 「な〜んだ、簡単だ!」と感じたと思いますが、結構どれかが欠けている遺言書が多いのが実態です。
もう少しわかりやすくまとめてみましょう。
「自筆証書遺言の作成要件」
 (1)遺言者が、遺言の全文を自書すること。
 (2)遺言者が、日付を自書すること。
 (3)遺言者が、氏名を自書すること。
 (4)遺言者が、遺言書に押印すること。
以上の(1)〜(4)のうち1つでも欠けていたらその遺言書は無効です。せっかく残しても、ただの紙切れ同前になってしまいます。

 次回からは(1)〜(4)について個別に検討していきます。

2005年06月10日

録音された「遺言」は有効か?

 前回、花田家についてちょっと触れましたが、今回も報道されていることで気になることがあるので取り上げます。
 マスコミは、「親方の録音テープが残されている。」と報道しています。では、肉声で録音された遺言は法的に有効でしょうか?答えは、残念ながら無効です。

 遺言は、民法で方式が厳格に決められています。決められたことを一つでもしていないとせっかく残しても無効になってしまいます。
 民法では遺言の7つの方式が定められています。普通方式として(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言、特別の方式として(4)死亡危急者遺言(5)伝染病隔離者遺言(6)在船者遺言(7)在船遭難者遺言、があります。
これら7つの何れにも録音テープによる遺言は認められていません。
また一般的には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがよく使われる方式です。

 次回は、自分で書いて残す遺言書「自筆証書遺言」について検討してみます。